ライフログ——毎日の生活を記録として残すこと——に興味を持つ人は、たいてい「自分の生活を、あとから振り返れる形にしておきたい」と考えています。ただ、いざ始めようとすると最初の分かれ道で迷います。自動で記録されるものに任せるのか、自分の手で記録するのか。
結論から言うと、この2つは競合ではなく、得意分野がはっきり分かれています。この記事では、それぞれの守備範囲と限界を整理して、現実的な始め方をひとつ提案します。
スマホやスマートウォッチは、放っておいてもかなりのものを記録してくれます。歩数、移動、睡眠時間、心拍、スクリーンタイム。撮る習慣があれば写真も。手間ゼロで、長期間、ほぼ欠けなくたまるのが自動記録の最大の強みです。始めるのに意志がいらないので、「気づいたら3年分たまっていた」が普通に起きます。
一方で、自動記録には原理的に取れないものがあります。その日が自分にとってどんな日だったかです。歩数8,000歩の日が、気持ちのいい散歩だったのか、嫌なことがあって歩き回った日だったのか。データの形はまったく同じです。自動記録は「何をしたか」の外形を残しますが、「どうだったか」という内側は写りません。
気分、満足度、何が良くて何がしんどかったか。内側の記録は、自分で打つしかありません。日記がその代表ですが、ここに有名な問題があります。手間がかかる記録は続かないのです。
私たちは日記アプリのレビューを1,157件読んで挫折の理由を調べたことがありますが、最大の要因は一貫して「書くのが面倒になった」でした。内側の記録は価値が高いのに、回収コストも高い。ここがライフログ設計の急所です。
だから手動パートの設計目標はひとつに絞れます。内側の記録を、どこまで軽くできるか。文章で書けば1日5分、選択式なら10秒。情報量は文章のほうが多いですが、3年続く確率は軽いほうが圧倒的に高い。ライフログは長期戦なので、ここは軽さを取るのが合理的です。
この組み合わせの良いところは、振り返るときに内側と外側を突き合わせられることです。「歩いた日は気分が高い」「写真が多い月は調子が良かった」。どちらか片方では見えない重なりが、両方あると見えてきます。
ライフログの解説は「何をどう記録するか」で終わりがちですが、本当に差がつくのは見返し方です。見返されないログは、ただの容量です。といっても、構える必要はありません。おすすめは月に1回、15分だけの「突き合わせ」です。
週次のもっと軽い見返し方は振り返りのやり方に、気分データの読み方は気分の記録にまとめています。
最後に、ライフログ全般に言える注意をひとつ。記録の網羅性を上げること自体が目的化すると、たいてい長続きしません。項目を増やすほど1日の記録コストが上がり、数週間で「今日は全部つけられなかった」が発生し、完璧が崩れた瞬間にやめてしまう——よくあるパターンです。
ライフログの目的は記録を完璧にすることではなく、あとから自分の生活を眺められることです。欠けがあっても、傾向は十分に見えます。最小の手間で長く続いている記録は、完璧で3週間の記録より、ずっと多くを教えてくれます。
ライフログは「生活の記録全般」を指す広い言葉で、歩数や睡眠の自動記録も、食事の写真も、日記も含まれます。日記はその中の「内側(気分や考え)を言葉で残す」部分です。気分とやったことをタップで残す形式は、ちょうど両者の中間——日記の中身を、ログのように数えられる形にしたものと言えます。
最初は「気分(5段階)+やったこと(タグ)」のふたつだけにしてください。体重や食事など気になる項目は、自動で取れるものだけ追加するのが安全です。手動の項目を増やすほど挫折は近づきます。足すのは、いまの記録が1ヶ月続いてからで遅くありません。
書いたり貼ったりする時間そのものを楽しめるなら手帳が向いています。一方、自動記録(歩数・睡眠)との突き合わせや、気分の集計をしたいならアプリが現実的です。手帳で挫折した経験がある人は、タップだけで終わる形式から再挑戦するのがおすすめです。
気分とやったことをタップで選ぶだけの日記アプリを作りました。記録は端末の中だけ。たまったログから「散歩があった日は、気分が+0.9」のような、あなたのデータの事実が返ってきます。ライフログの「内側」パートに。
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