5月は乗り切れたのに、6月に入ってから、なんとなく重い。やる気が出ない、朝がつらい、楽しみにしていたことが楽しくない。心当たりがあって「6月病」を調べると、クリニックの解説が並びます。それらの多くは「チェックリストで当てはまるか確かめましょう」で終わりますが、6月病には1回のチェックでは捉えにくい性質があります。じわじわ進むのです。
この記事では、6月病(六月病)の基本の整理に加えて、どの解説でもほぼ触れられていない「じわじわ進む変化に、自分で気づく方法」——日々の記録という道具の使い方までを書きます。
6月病(ろくがつびょう)は医学的な正式名称ではなく、6月ごろに出やすい心身の不調を指す通称です。新年度の環境変化から2ヶ月、緊張と我慢を重ねてきた疲れが、このあたりで表面化しやすいと説明されます。医療機関の解説では、状態によっては適応障害などの診断名がつく場合があるとされています。
名前が俗称であることは、軽く扱っていいという意味ではありません。むしろ「正式な病名ではないから」と我慢の理由にせず、つらい状態が続いているかどうかを目安にするのが実用的です(目安は後述します)。
よく挙げられる違いは、出方のスピードです。
クリニックの解説には、6月病は徐々に進行するため本人より先に周りが気づくことも多い、という指摘もあります。ここがこの記事の出発点です。じわじわ型の変化は、その日その日の実感では捉えにくい。今日の自分は昨日の自分とほとんど同じに見えるからです。
異動・入社・新しい人間関係。4月の変化に適応しようと張りつめてきた緊張は、それ自体が消耗のもとになるとされています。「思っていたのと違う」という理想と現実のずれも、すぐにではなく、少し遅れて効いてくるとされています。
カレンダーを見ると、ゴールデンウィークのあと、次の祝日まで2ヶ月以上あいだが空きます。意識して休みを取らない限り、「区切りなく走り続ける月」になりやすい構造です。
低気圧や日照時間の減少が自律神経や気分に影響しうる、という説明も多くの解説で挙げられています。雨の日のだるさについては梅雨のだるさ・眠さの記事で詳しく書いていますが、大事なのは影響の出方に個人差が大きいことです。「自分は天気に左右されるタイプか」は、あとで触れる記録から確かめられます。
解説で共通して挙げられるサインを、診断ではなく「観察の手がかり」として並べます。
心: やる気が出ない / 気分が沈む / イライラしやすい / 集中が続かない / 楽しみが楽しくない
体: 朝起きられない / 眠れない・眠りが浅い / だるさが抜けない / 頭が重い / 食欲がいつもと違う
1つ2つ当てはまる日は誰にでもあります。見るべきは個々の項目より、「いつもの自分」との差が、続いているかどうかです。
ここからが本題です。じわじわ進む変化に1回のチェックリストで気づくのは、毎日会う人の髪が伸びたことに気づけないのと同じで、構造的に難しい。必要なのは比較の基準、つまり過去の自分の記録です。
たとえば毎日、気分を5段階で1つ選ぶだけの記録でも、数週間たまると見えるものがあります。
調子が下がっている時期に、文章の日記を毎晩書くのは現実的ではありません。むしろ不調の時期ほど、記録は軽くないと続かない。気分をタップで1つ選ぶ、やったことをタグで選ぶ、それだけで観察の材料としては十分です。書けない日があっても、責めずに再開すれば問題ありません(日記が続かない理由に書いたとおり、続かない原因の筆頭は「手間」です)。
気分の記録のやり方そのものは気分の記録の記事に、波が見えてきたあとの付き合い方は気分の波との付き合い方にまとめています。
解説で共通して挙げられる定番を、簡潔に。立派なことより、小さく続くものを1つだけ選ぶのがコツです。
最後に、いちばん大事な線引きです。よく示される目安は2つ——「2週間以上続いている」「仕事や生活に支障が出ている」。当てはまる場合や、つらさが強い場合は、セルフケアの工夫よりも、心療内科・精神科やかかりつけ医、職場の相談窓口、厚生労働省の「こころの耳」などに相談することが勧められています。
そのときも、日々の記録は無駄になりません。「いつごろから、どんな調子だったか」を伝える材料になるからです。記録は自分のための観察道具であると同時に、人に助けを求めるときの言葉の代わりにもなります。
正式な病名ではなく、6月ごろに出やすい心身の不調を指す通称です。医療機関では、状態によって適応障害などの診断名がつく場合があると説明されています。名前があるかどうかより、「つらい状態が続いているかどうか」を目安にするのが実用的です。
よく挙げられる違いは出方です。五月病は連休明けに新生活のストレスが急に表面化するのに対し、6月病は4月からの疲れを我慢しながらためこんだ分が、遅れてじわじわ出てくると説明されます。じわじわ型は本人が気づきにくいとされ、だからこそ日々の小さな変化を残しておくことが手がかりになります。
目安としてよく示されるのは「2週間以上続いている」「仕事や生活に支障が出ている」の2つです。当てはまる場合や、つらさが強い場合は、心療内科・精神科やかかりつけ医、職場の相談窓口への相談が勧められています。日々の記録があると、いつからどんな調子だったかを伝える材料にもなります。
気分とやったことをタップで選ぶだけ、10秒の日記アプリを作りました。たまった記録から「直近4週間の平均は2.8。その前の4週間(3.4)と比べて-0.6」のような、あなたのデータの事実が返ってきます。調子が下がる時期ほど、記録は軽いものを。
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